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一般社団法人eスポーツポーカー協会が、9月2日のプレスリリースで「WPT TOKYO」の今年の開催見送りを発表しました。国内ポーカー大会を取り巻く状況の変化や、「今後想定される規制動向を踏まえプレイヤーの皆様がリスクを完全に排除した状態で大会にご参加いただける環境を確保することは困難と判断した」と説明しています。
注目したいのは、開催中止は協会内部だけでの判断ではなく、行政機関とも協議したうえでの結論だという点です。一方で、「具体的にどのようなリスクなのか」は書かれていません。
では、どのような点がリスク要因だったとのか、これまでに起きたことや各団体の動きなどから検証の上推察してみたいと思います。
本記事では「確定事実」「業界団体による整理」「そこから考えられるリスク」をできるだけ分けて書いています。運営団体が中止の理由を具体的に明らかにしていない以上、以下はあくまで推論であることをご了承ください。
今回の発表の前には、ポーカー業界に関わる出来事が短い期間に続いていました。
*JPBAは公開資料について、「JPBAとしての受け止め及び整理が含まれており、行政機関の公式見解そのものを示すものではありません」と明記しています。
こうした流れを、これまでのWPT TOKYOの運営方式と照らし合わせると、リスク要因として3つの論点が想定されます。
この点の論拠は7月のPhoenix Poker Series Vol.5の件です。
主催者の説明によると「風営許可を取得していなかったが、それで問題ないかを事前に警察や弁護士に相談し、適法と判断した上で開催した」とのことです。それでも捜査対象となったことについて「警察と我々で風営法に対する認識に相違があった」としています。
つまりは「事前に相談したから大丈夫、という事業者側の整理がそのまま警察の評価と一致するとは限らない」という事例となってしまいました。
昨年のWPT TOKYO 2025も、通常の5号営業許可店舗ではなく、東京国際フォーラムで複数日にわたって開催されたものでした。PhoenixとWPT TOKYOは運営方法も料金体系も異なり、警察がWPT型の大会について違法と判断した事実はなく、あくまで「大型大会の法的な位置づけについての不確実性が大きくなった」という意味ではありますが、主催者判断の大きな論点の一つであったことは想像できます。
WPT TOKYO 2025の公式Player’s Guideでは、メインイベントへの参加方法が2通り示されていました。
つまり、チケットを持っていないと、チケットを持っている人より11万2000円多く払わないと出場できません。ではそのチケットはどうやって手に入れるのかというと、全国の提携アミューズメントカジノで行われる店舗サテライトで賞品として獲得できるものとして案内されていました。
ということは、そのチケットは11万円2000円と同等の価値がある賞品なのでは?と見做される可能性*が浮かび上がります。折しもWPT TOKYOが例年12月の開催に向けてサテライトを回す時期、この仕組みを懸念した可能性があります。
*あくまでも「可能性」の話ではありますが、この発表の10日ほど前にJOPTがダイレクトバイインを設けない方針を発表した点からも論拠としてを窺える点ではないかと思います。
WPT TOKYO 2025のメインイベントは、公式サイトで賞金総額は『現金』にて1億円固定とされ、優勝賞金は2,000万円でした。なお賞金はスポンサーなどの第三者から提供されていて、ダイレクトバイインの参加者側が支払う12万円はあくまでも施設利用料という表記になっています。
賭博行為とは一般に「参加者同士がお金を賭けて奪い合う」仕組みのことです。であるならば
参加費は大会運営費
賞金は第三者が負担
という形であれば、参加費を勝者で分配する賭博とは異なる、という整理がこれまでされてきました。賞金が参加人数によって変わらない「固定額」だったことは、この整理に沿った設計といえます。
一方で、警察庁は「名目を問わず、偶然の勝敗に関して財物を賭ける行為は賭博罪に該当する可能性」があると注意喚起しています。名前を「施設利用料」「スポンサー賞金」としていても、実態として参加者のお金と賞金の原資が切り離されているかどうかが問われる、ということです。
WPT TOKYOのメインイベント1億円について、誰が原資を負担し、参加者から集めたお金とどう分けて管理していたのかは公表されていないため、この点について「問題があった」とは言えません。まったく問題なかった可能性も当然あります。言えるのは、高額な参加費と現金賞金が並ぶ大会では、両者が実質的に独立していることが重要になり、協会がこの点についてどのようなリスクを認識していたかは明らかになっていない、というところまでです。
が、それはさておき、どうであれこの機会に各ポーカー大会主催者はこの点において今一度しっかりとスキームの再確認をするべきなのは間違いないでしょう。
ポーカーの大型大会は、決して好き勝手開催しているものではなく、むしろ事前に専門家や関係各所にかなりしっかりと相談の上行っているものが多く、主催者側としては「法的な問題がない形で、最もエキサイティングなイベントを開催できるよう努めている」という姿勢は強く伺えます。
問題の浮上は、日本のプレイヤー人口が増えて影響が大きくなってきたことの証左でもありますが、しかしこうした傾向が続くとプレイヤー達は「もうポーカーはやらない」となるか「地下へ潜る」かのいずれかになる可能性がある。さらには、世論として「ポーカーといえば、イコールやばい、怪しい、怖いゲーム」という印象がつくことにもなりかねません。
ゲームそのものに罪があるわけではない以上、せっかく頭脳スポーツとして盛り上げようとしてきたこれまでの努力が徒労に終わらないよう、各団体の今後の動きに期待したいところです。
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参考元:
PR TIMES: 2026年「WPT TOKYO」開催見送りのお知らせ(一般社団法人eスポーツポーカー協会)
WPT JAPAN: Players’ Guide 2025 Tokyo
WPT JAPAN: WPT TOKYO 2025 公式サイト
警察庁: 遊技場営業について
日本ポーカー事業者連盟: アミューズメントポーカー店舗運用ガイドラインの策定状況及び加盟事業者向け説明会資料の公開について
Japan Open Poker Tour: JOPTサテライト運用およびメインイベントチケット仕様の見直し方針について
スポニチアネックス: 兵庫の大型ポーカー大会、県警が強制捜査 ゲーム中断 風営許可なく開催…運営が謝罪「認識に相違」
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