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北海道、2027年のIR申請見送りへ 時間的厳しさが原因か

北海道がIR申請見送り

カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を検討してきた北海道が、2027年に予定されている国への申請を見送る方向であると報じられました。

誘致第二ラウンドではどの自治体よりも先駆けて具体的に動いていた北海道だけに、今回のこの報道は少々驚きでありますが、その理由と今後について詳しく見ていきたいと思います。

目次

見送りの理由は期限

タイトな締切

国による第2回のIR区域認定の申請期間は2027年5月6日から11月5日までで、今回申請を見送る理由は、候補地の選定や法律で定められた手続きがこの期限に間に合わないからとのことです。

ただし、IR誘致そのものをあきらめたわけではありません。道はIRによる全道への経済効果を見込んでおり、検討は続けるとしています。政府は2030年ごろにも改めて公募するとみられ、北海道はその次の機会を視野に入れる形です。

*なお、現時点では知事による正式な表明ではなく「見送る方向」という段階です。今後、道議会などで正式に方針が示されるかどうかにも注目が集まります。

なぜ間に合わない

候補地が未定

北海道は先々週15日、IRに関する「基本的な考え方」の改訂版を発表。これまで有力な候補地であった「苫小牧優先」という文字が消え、北海道全体でひとつのIRをつくるというコンセプトを打ち出しました。

つまり具体的な候補地が示されなかったのです。次のステップである「基本構想」では候補地を明記する必要があり、ここに時間がかかると見られています。なお道は、北海道の自然や食、四季を生かしたリゾートの創生に向け、大都市とは事情が違う地方型のIRとして、MICE施設やホテルの規模の要件を地域の実情に合わせるよう国にも求めています。

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申請までに必要な手続きが多すぎる

IRの申請までには、ざっと次のようなステップを踏む必要があります。

  1. 候補地を明記した「基本構想」の策定
  2. 実施方針の策定
  3. 公募(RFP)による民間事業者の選定
  4. 区域整備計画の作成
  5. 住民への説明や議会の議決

基本構想だけで最大1年、その後の手続きと区域整備計画の作成にさらに18か月ほどかかるという試算も伝えられている中、候補地の明記にすら至っていない状態では2027年11月の締め切りに間に合わせるのは難しそう、ということになります。

苫小牧市は構想見直しを進行中

道の判断とは別に、これまでずっと優先候補地とされてきた苫小牧市は、独自に準備を進めてきました。市は3月〜4月にかけて「国際リゾート構想調査業務」の公募型プロポーザルを行い、有限責任あずさ監査法人を受託候補者に選んでいました。

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この業務は、2018年に市が策定した「国際リゾート構想」をベースにしています。構想を実現可能なレベルに近づけることを目的とし、具体的には以下のような調査を委託しています。

  • 世界や日本のIRの最新動向(来訪者数、経済効果、建設コストなど)調査
  • 北海道でのIRの事業性や、参入が見込める事業者についての調査
  • 2か国程度の海外視察先の選定と、1か国あたり5か所程度へのアポイント調整

苫小牧とあずさ監査法人の関わり

苫小牧市とあずさ監査法人の関係は、今回が初めてではありません。2015年に市がまとめた「IR可能性調査・検討結果報告」も、あずさ監査法人への委託によるものでした。その後も、市の国際リゾート構想に関する業務を受託してきた経緯があります。

さらに、北海道庁のIR関連の調査業務も、KPMGあずさが担っています。道の有識者会議にも参加しており、道と苫小牧市の双方の検討を同じ監査法人が支えている形です。今回の見送りが報じられても、市の調査業務は2027年3月まで続きます。2030年ごろの次の公募をにらんだ「下準備」として、調査の成果がどう生かされるのか注目です。

金澤市長は「着実に進めたい」

苫小牧市の金澤俊市長は、道が「基本的な考え方」の改訂案を示した際、IRは苫小牧だけでなく北海道や国全体の発展につながる施策だとして、誘致に向けた取り組みを着実に進めたいと話していました。

なお地元の報道によると、今回の見送り方針に対し、苫小牧の経済界からは不満の声が上がる一方、反対してきた市民団体には安堵も広がっているといいます。

これで2度目の見送り

北海道がIR申請を見送るのは、今回が2度目です。前回は誘致ラウンド第一ラウンド時の2019年11月、鈴木直道知事は第1回の申請を見送ると表明しました。当時は、苫小牧市植苗地区の候補地に希少な動植物が生息している可能性が高く、環境影響評価(環境アセスメント)が申請期限に間に合わないことが大きな理由でした。

つまり前回も今回も「時間が足りない」が壁になった形。先月には北海道経済連合会など道内の経済8団体が、IRの検討を加速するよう知事に要望書を提出していました。ただ一部報道によると、この要望書は道側の求めで水面下の修正が重ねられ、表現が控えめになっていたそうで、実はその時点で関係者の間では来年の申請を見送る見方が強まっていたそうです。

背景には世論もあります。北海道新聞が4月に実施した道民意識調査では、IR整備に反対が61%、賛成が23%でした。鈴木知事は2027年4月の知事選に出馬する意向を示しており、ギャンブル依存症や自然環境への影響を心配する声も根強いテーマです。

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日本のIR誘致レースはどうなる?

日本で国の認定を受けているIRは現在建設中の大阪の1か所だけ(2030年秋ごろの開業を予定)。第2回の申請では、最大2か所が追加で認定される可能性があり、各地の現時点での状況を見てみると、次のようになっています。

  • 愛知県:中部国際空港(セントレア)の人工島を候補地に、事業者の提案公募
  • 横浜市:新市長のもとでIR誘致を進めない方針
  • 和歌山県:和歌山マリーナシティIR計画意向を先々月知事が言及
  • 長崎県:前回不認可だった佐世保市に加え大村市も検討を表明
  • 福岡県:大任町がIRへの興味を表明

有力候補の北海道が抜けることで、現状だと2027年の申請は愛知県が中心になりそうな雰囲気ですが、まだわかりません。いち早く準備を進めていた北海道で間に合わないなら一体どこが間に合うんだという気もしないでもない上に、現在は全国で最大3か所とされているIRの数が、今後見直される可能性もあると報じられています。

撤退ではなく仕切り直し

北海道の美しい風景

とはいえ、苫小牧市ではあずさ監査法人による構想の調査が2027年3月まで続きますし、道も検討をやめるわけではありません。今回の見送りは「撤退」というより、2030年ごろの次の公募(第三ラウンド)に向けた仕切り直しと見るべきでしょう。

雄大な自然や食を生かした「北海道らしいIR」がいつ、どんな形で実現するのか。苫小牧市の調査結果や知事選の行方も含めて、これからも目が離せません(多分)。

参考元:
北海道新聞デジタル: 【独自】IR誘致、北海道が来年の申請見送り 手続き間に合わず 検討は継続
日本経済新聞: 北海道知事、IR誘致見送り表明 候補地で初

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