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韓国・仁川にあるインスパイア・エンターテインメントリゾート(以下インスパイア)を運営するモヒガン・ゲーミング&エンターテインメント(以下モヒガン)が、インスパイアに関連して深刻な財務問題に直面していると各海外メディアが報じています。
モヒガンは「債務不履行の可能性が事業継続性への重大な疑念を引き起こしている」と認めており、2024年外国人専用カジノを開業した韓国・仁川のインスパイアは昨期1億6,330万ドルの収益を上げたものの、EBITDA(利払い・税金・減価償却前利益)は4,950万ドルの赤字。成長を見せているものの依然として収益性を確立できていないそうです。
2024年12月31日に発表されたモヒガンの第4四半期および通期報告には、明暗両面が混在。まず良いニュースとしては2024年度の収益が19億ドル(約2,920億円)を記録、前年同期比で13%増加とのこと。この収益は過去最高で、主に「モヒガン・デジタル」と、韓国仁川で2024年3月に開業したカジノ統合型リゾート(IR)「インスパイア」からの収益によるものとされており、特に2024年夏、インスパイアは4~6月期の純収益5億400万ドルに貢献し、モヒガンの記録的な四半期業績を支えたとのことです。
一方悪いニュースとしては、EBITDA(利払い・税金・減価償却前利益)が3億4,900万ドルに落ち込み、前年から約5,100万ドル減少。東アジアでのビジネス展開の要として満を持して開業したインスパイアは10か月で1億6,330万ドルの収益を上げたもののまだ黒字化には至らず、インスパイアの開業コストと外国人専用カジノの収益率の低下に減益の大きな原因があるとされています。
モヒガンは現在、31億ドルの債務を抱えており、その中には7億ドルを超えるインスパイア関連の融資が含まれます。この融資は2024年内に返済期限を迎え、さらに2027年満期の別の融資も控えています。最高財務責任者(CFO)アリ・グレイザー氏は、債務再編については「相当な金額が必要」と認めつつも、「インスパイアはまだ1年未満の新施設であり、初期の結果には満足している」と楽観的な姿勢を示しました。
一方、Spectrum GamingのCEOフレデリック・グシン氏は韓国市場独特の厳しさを指摘。この事情が近い将来に緩和される見込みはなく「そもそも韓国は厳しい市場」と結論付けています。
韓国のカジノは「地元住民が入場不可」という韓国市場特有の制約があり、モヒガン・インスパイアの課題を増幅しています。パンデミック後の統合型リゾート市場は全体的に回復基調にあるものの、強固な市場環境に支えられているマカオやシンガポールの競合施設と違い、韓国市場では収益機会が制限されてしまうためです。
モヒガンは、インスパイアを含む事業全体の成長を目指していますが、その実現には多くの課題が残されています。特に韓国での債務再編が鍵となる中、市場条件が同社の未来に大きな影響を与えるとみられます。
参考元
iGamingBusiness – Mohegan Gaming faces default on South Korea loans
Pechanga.Net – Alarm for investors as Mohegan Gaming defaults on South Korea loan
Yogonet Gaming News – Mohegan Inspire faces uncertain future with looming debt defaults, contractor litigation
インスパイアとは
モヒガン・インスパイア・リゾートは、モヒガン・ゲーミング&エンターテインメントが韓国にて外国人専用カジノの運営を主目的として開発した大規模統合型リゾート(IR)です。
仁川国際空港から送迎バスで約20分ほどの場所に位置する広大な敷地には、1200室以上の客室を備えるラグジュアリーホテルの他、高級ブランドショップや飲食施設、全天候型ウォーターパークのスプラッシュ・ベイ、そして15000席のキャパシティと世界最高水準の音響・映像システムを誇るインスパイア・アリーナを備えています。アリーナでは国内外の一流アーティストによるライブや、スポーツ各競技、eスポーツなどが開催されています。
モヒガン・ゲーミング&エンターテインメントとは
米国、カナダ、北アジアでエンターテインメント・リゾートを所有・開発・経営する企業。アメリカ先住民・モヒガン族の間で数百年にわたり伝承されてきた哲学に基づく核心的な価値観 「アクァイ精神(Spirit of Aquai)」を企業理念として掲げています。
アメリカ国内では、1988年に制定された「Indian Gaming Regulatory Act」が先住民族によるカジノ運営を合法化し、多くの部族がこの法律を活用して経済的発展を遂げました。モヒガン族のカジノ経営は、単なるビジネス以上に部族の復興とアイデンティティの再構築を象徴するもので、その成功は先住民族がカジノ事業を通じて経済的自立を果たす例とされています。
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