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ギャンブル依存症対策にAI(人工知能)は貢献できるか AIによる依存症対策 国内外の取組み事例

ギャンブル依存症対策とAI

中国発のAI(人工知能)「DeepSeek」が世の中を賑わせています。米ChatGPTも最新モデル「o3」など話題に事欠かないAI業界ですが、ギャンブル依存症対策にもAIを活用する取組みが国内外で行われています。

目次

ギャンブル依存症対策の課題とAI

AIとギャンブル依存症対策

ギャンブルをやめられなくなる精神疾患は、専門機関の不足や相談のハードルの高さから治療・支援へつながりにくく、よって早期発見が難しく、かつ自己制御が極めて困難であるなどの問題があります。これらの課題に対し、AIがどのように貢献できるのかを見ていきましょう。

AIを活用した依存症対策の実施・研究事例

チャットボットによるオンライン相談支援の研究

LINEのチャットボットを使った依存症対策

岡山県精神科医療センターの宋龍平氏、久里浜医療センターの松下幸生副院長らにより、LINE BOTを活用した臨床研究が行われました。対面支援に消極的な対象者にとってチャットボットが「受け入れやすい代替手段」として機能することで、ギャンブル依存症への早期介入が可能となることを目的としています。

研究では、PGSI(ギャンブル重症度指数)の事前・事後の変化を主要評価項目、G-SAS(ギャンブル症状評価尺度)の変化を副次評価項目として、被験者に対し認知行動療法に基づいた個別フィードバック、プライベートメッセージ、日次モニタリングを28日間にわたりLINEを通じて提供。結果、PGSIについては有意差は認められなかったものの、G-SASにおいては有意な改善が認められたとのこと。また離脱率が低く、77%(96人中74人)が28日間の介入に継続参加したとのことです。

チャットを活用した支援は、海外ではイギリスのGamCare、アメリカのWoebot Healthなどですでに実装されています。本研究が示した改善および離脱率の低さは、LINEのような頻繁に使用されるメッセージングアプリの活用が日本でも依存症者の問題解決に役立つ可能性を示唆していると言えるでしょう。

脳機能結合の情報xAIでギャンブル障害の診断を予測

MRI

東京医科歯科大学(現:東京科学大学)高橋英彦教授、京都大学の村井俊哉教授、国際電気通信基礎技術研究所の川人光男所長、量子科学技術研究開発機構 ・量子生命科学研究所の八幡憲明氏による研究グループが、人工知能(AI)技術を用いて、安静時脳機能結合の情報からギャンブル障害の診断を予測する判別器の開発を試みました。

2台のMRI装置を用い、161名(ギャンブル障害患者70名、健常者91名)の研究対象者からrsfMRIを収集し、各研究対象者の安静時脳機能結合を計算。この情報に人工知能技術を適用した結果、ギャンブル障害の診断に関わる15本の脳機能結合とそれぞれの結合の重み付けの情報から診断のための数値的指標を算出し、ギャンブル障害の診断を予測する判別器を作製したとのことです。

この研究で開発された判別器によって、主観的な症状やギャンブルに関連する行動によって行われているギャンブル障害の診断に「生物学的情報に基づく判別」という新たな切り口が加わり、適切な診断の一助となることが期待される、と述べられています。

行動パターンの解析とリスク予測

行動パターンのAI解析による依存症対策

イギリス発の「BetBuddy」は、オンラインギャンブル企業向けにAI技術を活用したリスク管理システムを提供しています。利用者のベッティングパターンや行動データをリアルタイムで解析し、依存症リスクの高い行動を自動検知。運営者に対して警告を発する仕組みを採用することで、依存症防止の促進に寄与しています。

たとえば、

短期間での頻繁なベット
大きな金額の連続した入金
深夜や休日に急激に増加するプレイ時間

などユーザーの賭け金の増加や連続プレイなどのパターンから、依存リスクをスコアリングするシステムが研究されています。

AIカメラの画像解析

AI監視カメラ

全国モーターボート競走施行者協議会は2022年にNTT東日本と共同で、AIカメラの画像解析技術を用いた実証実験を行いました。ボートレース場に設置したAIカメラにより入場者の顔画像および特徴量、属性(推定される性別・年齢)、再入場回数(特徴量の一致回数)などを取得し、AI画像解析の有用性を検証しています。

AIによるギャンブル依存症対策の今後の展望

AI技術の進化により、ギャンブル依存症対策はより効果的なものになっていくと考えられます。今後の展望として、以下のような技術革新が期待されています。

ブロックチェーン

リアルタイム分析の精度向上

AIの学習データが増えることで、より迅速・精密な行動分析が可能になるでしょう。早期発見のみならず、現在進行中の問題行動に手遅れになる前に対処できることが期待されます。

ウェアラブルデバイスとの連携

腕時計やリストバンド、指輪などの着用型スマート端末により心拍数やストレスレベルといった体内情報を測定し、ギャンブルへの衝動を検知し予防に役立てることが期待されます。

ブロックチェーン技術の活用

透明性の高いデータ管理によるAIの信頼性向上。AI最大の懸念点であるプライバシー問題と情報集中によるパワーバランスの崩壊を防ぐことが期待されます。

AIは、ギャンブル依存症対策において「早期発見」「予防」「支援」の各段階で大きな役割を果たす可能性を秘めています。AIを活用することで依存症のリスクを軽減し、より効果的なサポートが提供できる可能性があります。今後もAI技術の発展とともに、ギャンブル依存症対策の精度が向上し、より多くの人々が健全な生活を送れるようになることが期待されます。

参考元
Playtech.com : BetBuddy
Woebothealth.com
gamcare.org.uk
National Library of Medicine: Unguided Chatbot-Delivered Cognitive Behavioural Intervention for Problem Gamblers Through Messaging App
東京科学大学 プレスリリース:「脳機能結合の情報からギャンブル障害の判別器を開発」
NTT東日本:「ギャンブル等依存症対策」への有用性を検証~ボートレース場で、AIカメラの画像解析技術を用いた実証実験を開始~

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