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GTO Wizardが新機能「Preflop ICM Solving」をリリース

GTO Wizard Preflop ICM solver

GTO Wizardが新機能Preflop ICM Solving(プリフロップICMソルビング)をリリースしました。実際に遭遇したトーナメントのプリフロップ状況を、ICM込みで解析できる機能です。

ICM(Independent Chip Model)とは

非常に簡単に言えば「いま持っているチップが、賞金という意味ではどれくらいの価値を持っているのか」を考えるモデルです。

キャッシュゲームでは、チップの価値は基本的に一定です。100ドルのチップを失えば100ドル失いますし、100ドルのチップを獲得すれば100ドル増えます。

ところがトーナメントではそうなりません。たとえば、残り3人で、自分が現在2位で、3位にはほとんどチップが残っていないとします。このとき、自分がチップリーダーとの大きなポットに参加して飛んでしまえば、3位で終了、一方何もせずに待っていれば、3位のプレイヤーが先に飛んで最低でも2位の賞金を確保できる可能性があります。

したがってこの場面では、「負けたときに失う賞金期待値まで考えて、それでも勝負する価値があるのか」を考えなければなりません。

目次

これまでのICM研究の問題を解決

トーナメントにおいて、「バブルではタイトになる」「ミドルスタックはICMプレッシャーを受けやすい」「チップリーダーはICMを利用して攻められる」といった程度の話は聞いたことがあると思いますが、実際のICM戦略を正確に調べようとすると、そう簡単にはいきません。これまでは、一つのプリフロップICMスポットを解析するためにデータ入力と計算で長い時間がかかり、条件を一つ変更すればまた計算し直すといった必要がありました。

あるいは「BTNから20bbでどこまでオープンできるか」というチャートを見つけたとします。しかし、実際のテーブルでは、何人残りなのか、バブルなのか、FTなのか、ショートがいるのか、自分がショートなのか、賞金構造はどうなのか、などなどなどによって戦略が変わります。つまり既成のチャートを見ても、自分の状況と似ているけれど、完全には同じではないという問題が常について回ります。

似たチャートを探す必要がなくなる!

GTO Wizardによると、今回の新機能では

・最大9人
・最大250bb
・最大4,096人規模のフィールド
・各プレイヤーのスタック
・アンティ
・賞金配分
・バウンティ
・各種レイズサイズ

などを設定してプリフロップを解析できるようになったそうです。つまり、「昨日自分がプレイしたトーナメントの、そのハンドを再現し、どうするのが最適解だったのか」を見直しすることができるわけです。

ノードロック、プレイヤープロファイル活用でさらに実践的に

加えてノードロック機能や、昨年リリースされたプレイヤープロファイルも活用すれば、さらに実践的な検証ができます。

通常のGTO解析は、相手プレイヤーもGTOを完全に理解しているという非現実的な前提のもと行われていますが、実際のポーカーテーブルは当然そうではありません。

絶対に飛びたくないプレイヤーが必要以上にフォールドしていることがあるし、逆にチップリーダーが3betしすぎている場合もある。大きなEVが生まれるのは、そのように相手が理論からズレている場面です。

今回のPreflop ICM Solvingでは、そうした相手の戦略をノードロックするか、あるいはプレイヤープロファイルを設定することで、それに対する最適なカウンター戦略を計算できます。たとえば、「後ろのプレイヤーが本来より30%多くフォールドする」と仮定したとき、自分のオープンレンジはどこまで広がるのか。あるいは、チップリーダーが3betしすぎる場合、こちらはどのハンドまで応戦できるのか、とか。

ICMは特に心理的な影響を受けやすい領域。バブル、FT、大きな賞金ジャンプ。サテライトの通過直前 といった場面では「飛びたくない」という心理が非常に強く働き、理論値以上にフォールドする人が出やすいので、ならばこちらは理論値以上に攻められる(言うは易しですがそれはさておき)ということです。ノードロックやプレイヤープロファイルを活用すれば、その「どれくらい攻めてよいのか」をより具体的に検証できるでしょう。

3-wayのポストフロップICMにも対応

今回のアップデートはプリフロップのみならず、ポストフロップ、しかも3-way まで対応しているそうです。たとえば、

チップリーダー
ミドルスタック
ショートスタック

の3人でフロップに進んだとします。

同じ10bbを失うとしても、その意味は3人とも違います。チップリーダーは失ってもまだ生き残れる。ミドルスタックは負けるとショートより先に飛ぶ可能性がある。ショートスタックはダブルアップすれば大きく生存確率が上がる。さらにバウンティトーナメントなら、「相手を飛ばすことで賞金がもらえる」という別の価値まで加わります。

したがって同じボード、同じハンドでも、誰が誰をカバーしているかによってベット・コール・レイズの価値が変化します。これはかなり複雑な世界へ突入するのでもはやどうやって計算しているのかよくわかりませんが、なんかとにかくすごいですね。

現時点のPreflop ICM Solvingでは、フロップまで進めるプレイヤーは最大3人です。4人目のオーバーコールやオーバーリンプにはまだ対応していません。GTO Wizardは今後、より多くのオーバーコーラーやオーバーリンパーへの対応を予定しているのことです。そんなのどうやって計算するんだろうこわいよー

ソルバーそのものも大幅に高速化

そんなわけで、膨大な処理負荷がかかる機能であることが素人的にも想像に難くないわけですが、今回GTO Wizard AI自体にも高速化が入っているとのことです。公式発表によれば、大きなゲームツリーでは従来の3〜6倍程度高速化したとかなんとか。

それの何がすごいって、ただ時短になっただけでなく、結果として学習方法にも大きく影響することでしょう。1回の解析に数十分かかるなら、「本当に知りたいスポットだけ解析しよう」となりますが、数秒で終わるなら、「じゃあスタックを5bb変えたら?」「賞金を変えたら?」「相手の3bet頻度を増やしたら?」と次々試せるではないですか。

計算速度は単なる快適性ではなく、プレイヤーがどれだけ多くの仮説を検証できるかに直接関係しますから、当然それは学習効果にも大きく寄与することとなるでしょう。

新機能でICM研究はこう変わる

「答え合わせ」から「実験-検証」へ

従来のソルバー学習では、

「このハンドオールインだったかな」→ ソルバーを見る → 「オールインだった」

と、個別の答えを覚えているだけになりがちだったのが、今回の機能なら、あるハンドがオールインになるスポットについて、

賞金傾斜を変える
自分のスタックを変える
チップリーダーの位置を変える

などなど、いろんな状況下での変化を高速で実験できます。

すると、「そのハンドがオールインかどうか」ではなく、「何がそのハンドをオールインにしたのか」が見えてきますよね。これはかなり大きな違いではないでしょうか。実戦でまったく同じスポットに再遭遇する可能性は低いですが、「この条件ではこういう方向にレンジが動く」という原理を理解できれば、未知の状況にも応用できます。

より本質の理解へ大きく前進

ということで、今回の新機能で画期的なのは、ICM学習の方法そのものが進歩する点ではないかと思います。

プリフロップのChip EVであれば、スタックごとのチャートをある程度覚えることができますが、ICMでは条件が多すぎてすべてのパターンを暗記するのは非現実的です。だからこそこのような「条件を変更しながら何度も比較し、戦略が動く方向を理解する」という学習方法との相性が非常に良いでしょう。

多くのスポットを秒単位で解析できるのであれば、「もしこうだったら?」を何度も試せます。これは勉強方法としてかなり大きな変化だと思います。

自分のスタック、相手のスタック、残り人数、賞金構造、誰が誰をカバーしているか、バウンティ、ポジション、といった諸条件を自由に変更して瞬時に再計算できるようになったことで、「レンジを覚える」より「レンジがなぜ、そしてどう変わるのかを見る」という、より本質的な理解につながる学習方法が活用できるようになったと言えるでしょう。

以下に、新機能をフル活用することでICMへの理解が深まるポイントを挙げていきます。

Chip EVとICMの比較

同じ状況をChip EVとICMの両方で解析できるのは、ICMを理解するうえで非常に有用だと思います。

「ICMだからタイトになります」と説明されても実際にどれくらい変化するのかは直感的には分かりにくいけど、同じスポットについて

Chip EVではこのレンジ
ICMではこのレンジ

と並べれば、賞金という要素を加えただけで戦略がこれだけ変わるというのが理解しやすくなるのではないでしょうか。しかもそれが、条件を変えて何度も比較できるのです。

相対的な動きの検証

ICMというと「賞金があるから飛びたくない」→「タイトになる」というイメージを持ちやすいですが、あるプレイヤーがICMによってタイトにならなければならないということは、そのプレイヤーにプレッシャーをかけられる別のプレイヤーは、逆に広く攻められる可能性があるということです。

典型例がチップリーダーで、ミドルスタック同士が「先に飛びたくない」という事情を抱えている分、チップリーダーは相手がコールしにくいことを利用して積極的にプレッシャーをかけられます。

つまりICMとは、各プレイヤーが持つリスクの非対称性によって戦略が変化するものです。この相対的な状況変化を、諸条件を変えることによってどう変化するのかを見比べられるのは本質理解に大きく貢献するのではないでしょうか。

Fold EV=0 ではない

通常のChip EVでは、フォールドは基準点としてEV=0と考えるのが自然です。フォールドすればチップを獲得しないので。

ところがトーナメントでは事情が違います。たとえば残り3人、BTNに自分がいて、SBとBBが非常にアグレッシブなプレイヤーだったとします。自分がフォールドすると、その2人が巨大なポットを戦い、一人が飛ぶかもしれません。

すると自分は、1チップも増やしていないのに順位が上がり、賞金期待値が増えます。このためGTO Wizardは、ICM解析では単純にFold EV=0とはしていません。すべてのアクションを共通の基準となるトーナメントエクイティに対して評価する方式を採用しています。

キャッシュゲームでは、基本的には自分と相手との間でチップが移動します。他人同士が大きなポットを戦っていても、自分のスタックそのものは変わりません。ところがトーナメントでは、他人が脱落するだけで自分の資産価値が上がります。この「チップ量は同じなのに価値が変わる」という性質こそ、ICMを直感的に難しくしている原因の一つですが、それが可視化されることで理解が深まるのではないでしょうか。

Preflop ICM Solving活用の具体例

JJをフォールド

今回GTO Wizard公式が発表した記事では、分かりやすい実例として「2026年WSOP Main Eventファイナルテーブルのハンド」が紹介されています。

ショートスタックのHJが2bbにオープン。BTNがほぼオールインに近い3bet。BBにいたGreg Muellerは約22bbを持っており、ハンドはJJ。

Muellerは長考の末、JJをフォールドしました。

この状況のJJは、Chip EVであれば迷わずオールインでしょう。なんならちょっと悩んでるフリしたほうがいいかなくらいの。しかし実際にICMを含めて解析してみると、この状況でのJJは97.3%の頻度でフォールドという解析結果だそうです。(しかも実際フォールドして正解だったという/あくまでも結果論ですが)

JJはJJでしかなく、カードの強さは何も変わっていないし、相手のレンジだけを見ても十分強い。けど、それでも、残り人数、自分の順位、他のショートスタック、賞金ジャンプ、ここで飛ぶことの損失、などを総合的に鑑みると、「JJだから当然オールイン」とはならなくなるのが、ICMのおもしろいところです。

AAのプレイまで変わる

この回では、さらに興味深い事例が起きています。

最初にミニマムオープンしたHJのハンドはAAでした。スタックは約8bbです。Chip EVだけなら、8bbのAAはオールインするのが普通に思えますが、ICM解析では、AA(やKK)だけ小さくオープンする戦略を取ることがあるそうです。後ろのプレイヤーにもそれぞれ異なるプレッシャーがかかっているICM環境では、自分のハンドの強さだけではなく、相手がICMによってどれだけ身動きを制限されているかまでが戦略に影響するのです。

これはICMを単純に「バブルではタイトにしましょう」と理解するだけでは見えてこない部分です。

参考記事:Pokernews|Feng’s Aces Cracked on River to Bust at WSOP Main Event Final Table

勉強とチートの間で

さて、これだけ高速なソルバーを作ると当然問題になるのが、プレイ中にソルバーを使う行為です。

GTO Wizardでは以前からFair Play Checkという仕組みを提供していますが、今回これがPreflop ICM Solvingにも対応しました。日時を入力すると、その前後5分以内にGTO Wizardで解析されたプリフロップICMスポットについて「解析時刻/各プレイヤーのスタック/賞金設定などのトーナメント条件」を確認できるのだそうです。

高性能な解析機能を高速化すればするほど「勉強ツール」と「チートツール」は紙一重となります。したがって、この機能強化とフェアプレイ対策をセットとするのは当然と言えるでしょう。

最大の難点

さてさて、ここまで大変素晴らしい新機能のご紹介をいただきましたが、もっとも大事な点、毎度おなじみの

で、なんぼやねん。

ですが、

まずPreflop ICM Solvingを利用するには、トーナメントプランのUltra(ウルトラ)が必要です。お値段、

月額 359US$(56,420円/2026年9月18日時点)

↓10月15日まで早割やってますよ!

GTO Wizard トーナメントプランのウルトラ料金

しかも年払いにすれば今なら月額$229に!(涙)

なおeffective stack 10bbまでのカスタムプリフロップICMについては無料お試し可能です。あんま参考にはならないけどぜひ触ってみてはいかがでしょうか。

10bb以上に設定すると「ウルトラにアップグレード!」アラート

参考元:
GTO Wizard 公式Blog: Now Live: Preflop ICM Solving

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