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アメリカのカジノ大手MGMリゾーツが、身売りの可能性に揺れています。買収が実現した場合、2030年秋の開業を目指して建設中の大阪IR(統合型リゾート)に影響が出るのでしょうか。

昨日の記事でお伝えした通り、アメリカのコングロマリットPeople Inc.が、MGMリゾーツの完全買収に向けた非拘束的提案を行いました。提案価格は1株48.30ドル、総額にして約180億ドル(約2.6兆円)という巨額の取引です。

People Inc.はすでにMGMリゾーツの筆頭株主(26.1%保有)であり、買収完了後は50.1%を握り非上場化する計画。残りは少数株主や共同出資者が保有する形となります。
注目すべきは、People Inc.の経営戦略の方向性です。アナリストの多くは、同社がデジタルゲーミングに軸足を移す可能性が高いと見ており、その場合、マカオと大阪という海外の実店舗資産は「ノンコア」扱いになりかねません。

大阪IR(夢洲)は2025年4月に着工し、2030年秋の開業を目指して工事が進んでいます。総事業費は資材費・人件費の高騰を受けて当初の約1.27兆円から約1.513兆円に膨らんでおり、MGMとパートナーのオリックスがそれぞれ追加出資済みです。MGMの出資比率は42.5%。
問題は、これからさらに大きな資金が必要だという点です。米調査会社CBREの試算によると、MGMの残余出資コミットメントは次のとおり。
買収完了後の数年間だけで2,000億円超を大阪に注ぎ込まなければならない計算です。デジタルゲーミングへの投資拡大を狙う新オーナーにとって、これは重い負担になりえます。
こうした状況を踏まえ、Seaport Research Partnersは「MGMが大阪の42.5%持分を売却する可能性がある」と指摘し、買い手候補として以下のオペレーターたちの名を挙げています。
ラスベガス・サンズは、かつて日本IR参入を目指していた経緯もあり、資金力と開発実績の両面で最も現実的な候補のひとつ。ギャラクシーエンターテインメントとハードロックインターナショナルも、財務基盤と国際的なIR開発経験を評価されています。
ウィンリゾーツ、ゲンティンググループ、メルコリゾーツも名前が挙がっていますが、各社それぞれ他プロジェクトとの競合や流動性の制約があると分析されています。また、中国系の投資家については、現在の日中関係の緊張を背景に政治的な難しさがあると指摘されています。
もしMGMが大阪IRの持分を手放すとなれば、ことはそう簡単ではありません。IR整備法に基づき、事業者の変更は日本政府・大阪府の承認が必要です。認定された区域整備計画の見直しが求められる可能性もあり、手続きに時間がかかれば2030年の開業スケジュールにも影響が出かねません。

Seaportも「開発者としてMGMを置き換える契約上の詳細は不明」と明言しており、持分売却が現実になるまでのハードルは高いと見られています。
今回の話はあくまで非拘束的提案の段階であり、買収が成立するかどうかも決まっていません。MGM株は提案翌日に提示価格を上回る50.69ドルで引けており、市場は上乗せ提案を期待しているような状況です。
大阪IRにとって最悪のシナリオは、買収後にMGMが資金不足に陥り、出資コミットメントを果たせなくなること。一方で、新オーナーが日本事業を継続すると判断すれば、2030年開業に向けた計画は変わらず進むはずです。
いずれにせよ、この件が大阪IRの行方を左右する重要な局面であることは間違いありません。今後の動向を引き続き注目していきましょう。
参考元:
GGRAsia: Potential MGM Resorts buyout could trigger review of Macau, Japan assets: analysts
Asia Gaming Brief: People Inc. takeover could trigger MGM China and Osaka stake sales: analysts
Macau Business: MGM Resorts buyout talk raises prospect of Macau, Japan stake sales, say analysts
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