WSOP2025 〜6/25までのハイライト 今夏3つ目のブレスレット獲得者／レディースイベントサテライト炎上／ディーラーの技術に不満続出

Benny Glaser氏 今夏だけで3個目のブレスレット獲得

Event #56: $2,500 Mixed Triple Draw Lowball (Limit)

イギリス人プレイヤーのBenny Glaser氏が、わずか3週間で3つのWSOPブレスレットを獲得しました。最初に「$1,500 Dealers Choice」、次に「$1,500 Mixed PLO8」、そして今回の「$2,500 Mixed Triple Draw Lowball (2-7, A-5, Badugi)」で、すべて400人以上のエントリーを超える大会で優勝するという歴史的な快挙を達成しました。

優勝後のコメントで本人はこの偉業について「1シリーズで3つって本当に多いよね。しかもまだシリーズは終わってない。なんだか現実感がないよ。クレイジーだね」と語っており、またこの勝利によりWSOP年間最優秀選手ランキングで首位に立ったことについても「本気で狙いにいく」と表明しました。

Glaser氏はこれで自身通算8個目のブレスレットを獲得。将来的にフィル・ヘルミュースの持つ歴代最多ブレスレット記録（17個）を超えるのではという声については「ヘルミュースもまだ現役で出続けてるから追いつくのはは簡単じゃないけど、追いかけるレースになるのは面白いと思う」と回答しています。

まだ36歳のGlaser氏について、長年メインイベントの解説をしていたNorman Chad氏は自身のSNSで「個人的には殿堂入り（Poker Hall of Fame）の条件は50歳に引き上げるべきだと思ううけど、35歳にするならBenny Glaserを入れるべきだ。今年のシリーズだけですでに3個のブレスレット、合計8個という記録に肩を並べるプレイヤーはそうはいない」と語っています。

なお一つの大会中に3つのブレスレットを獲得するのは史上8人目で、もっとも古い記録は1973年だそうです。ところでこの快挙を達成するのは昔と今、いったいどちらが難しいのでしょう。

昔は、いまとは比べ物にならないくらいイベントの数が少なく、つまりブレスレット獲得の機会も少なかった。今は100のイベントがある、イコールそれだけブレスレットの獲得チャンスも多いということにはなりますが、一方で参加者の数は爆増しており、ひとつのトーナメントを勝ち抜くこと自体が至難の業となっている。なかなか難しい問題ですが、ひとつ獲得することですら大変なのですから、いずれにせよとんでもない記録であることには間違いありません。

レディースイベントのサテライトで物議

Event #70: $1,000 LADIES No-Limit Hold’em （のサテライト）

26日から開催予定のレディースイベントのオンラインサテライトで、男性プレイヤーのAlbert Ng氏が優勝してしまったことが炎上しています。

このサテライトは勝者にレディース・チャンピオンシップへの$1,000シートが与えられる形式でした。女性であれば出場権が付与されるところですが、WSOPの規定によると、男性プレイヤーが出場する場合は「$10,000のバイイン（参加費）を全額支払わなければならない」という規定になっています。

この騒動に対し、SNSでは

• レディースイベントの趣旨を理解していない
• Ng氏がイベントを間違えてクリックしただけだと信じたい
• そもそも男性が参加できないようにすべき
• これトランスジェンダーの人はどうなるの？

といった声が上がりました。

なぜレディースイベントなのに男性が出場できるのか？
そもそもレディースイベントなら、たとえいくら払おうとも男性は出場できないのが筋では？と思うかもしれませんが、ここには理由があります。

アメリカでは多くの州で「性別による参加制限は法律上できない」というルールがあります。そこでWSOPは「イベント自体は誰でも参加できるけど、女性には$9,000のディスカウントを提供することで、実質的に女性限定にする」という工夫によってレディースイベントを実現しています。つまり形式上は「誰でも参加可」なので、WSOPは

女性が出場 → $1,000を払えば参加OK
男性が出場 → $10,000払わないと参加できない（サテライトで勝っても）

というポリシーを毎年明言しており、本件が発生した後も公式Xで

「サテライトを通過した男性がLadies Eventに出場する場合、$9,000の追加支払いが必要。支払わない場合は出場できない」

と投稿しています。

なおPokerNewsによると、Ng氏はインタビューに対し、このサテライトがレディースチャンピオンシップであることを知っていたかどうかについては明言を避けた上で「今のところ本戦に出場するつもりはない」と回答しているそうです。

ディーラーの技術不足問題

今に始まったことではないかもしれませんが、ディーラーの質に対する不満がSNSで続出しています。

「なんか今年のディーラー最悪なんだけど」
「今日だけで4回ハンド間違えてるケース見た」
「ポット管理でたらめ」
「そもそもルールすら把握できてない」

といった声があがる中、おそらくラスベガスではないどこかを拠点とするポーカーディーラーと思われるアカウントから

「自分はWSOPのディーラーしたことないけど、正直とてもやる気になれない。わざわざ旅費を払って長時間労働でひと夏1万〜1万5000ドルの報酬はとても割に合わない。運営はものすごい手数料吸い上げてるのにディーラーの報酬はぜんぜん上がらないんだから、クオリティ不足は運営の強欲が招いた必然の結果」

なんて投稿もありました。

実際、あれだけの数のテーブルをいっぺんに稼働するために必要なディーラーの数を確保するだけでも大変だろうし、とくにミックスゲーム系はかなりディーラー泣かせで、大会規模が大きくなりすぎた分課題も増えつつあるようです。(労働許可の問題さえなければ日本人含め優秀な外国人ディーラーはいっぱいいるのですが…)

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