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米上院を通過した「One Big Beautiful Bill Act(OBBBA/BBB)」に、ポーカーほか各種ゲーミング界隈が激しく反発しています。この法案に含まれるある修正条項が、プロプレイヤー達にとって廃業もあり得る致命的な税制改正をもたらす可能性があるためです。
この法案は国防費の増額やMedicaid(低所得者向け医療保険)などの社会保障費削減などが主な柱ではありますが、その中にポーカーほか様々なゲーミングのプロプレイヤーに壊滅的な影響を与える条項が潜んでいます。
それが、ゲーミングのプレイの損失控除を「勝ち額の90%」までに制限するという内容。
例えば、10万ドル使って10万ドル勝ち(=収支トントン)だと、
現在 | 損益は相殺されるため非課税 |
新制度 | 損失控除できるのは9万ドルまで=1万ドルの“実際には存在しない所得”に課税される |
となり、まったく勝っていないのに課税されてしまうのです。
現在、プロプレイヤーはバイイン(参加費)、旅費、宿泊費などギャンブル関連経費を全額控除できます。しかし、修正案が成立すると、「純利益」ではなく「総収入」に対して課税されることになり、控除できる額が「すべての経費を合わせた上で最高90%まで」となります。つまり旅費やコーチング、ソフトウェアなどにかかる諸経費も90%控除内に含めないといけないため、実質控除額が著しく減ることになるとのことです。
そうなると、プロプレイヤーはさらに負担が増す「遠征」を避けるようになるかもしれません。ひいては大会の賞金プールが縮小し、地域経済へも打撃となります。あるいは詳細な記録管理をやめるなど、税務コンプライアンスの低下と混乱の懸念もあります。
またプロだけでなく、アマチュア、さらには観光客などにも影響を与えます。
勝った額より多くの税金を払う必要があるかもしれないとなると、観光客などカジュアルな客層がポーカーだけでなくゲーミング全般のプレイを控える可能性があり、カジノ、ひいてはホテル・レストラン・ショービジネス全体に負の経済効果が波及します。
この修正案が成立すると
といった懸念があります。
これに対し、主にポーカーのプロプレーヤー界からは当然強い反発が広がり、各々自身のSNS等で以下のように投稿しています。
Phil Galfond
OBBBAはプロからアマチュアまで全てのプレイヤーに影響を及ぼす。勝った額より多くの、いや場合によっては勝ちが一切なくても税金を払わなきゃいけなくなるかもしれないのだから。
Chris Brewer
ハイステークストーナメントでプレイするプロへの死刑宣告だ。
Doug Polk
今こそポーカーコミュニティが結束するときだ。この情報を全インターネットの隅々まで拡散しないと。これが成立したら数万人が即失業する。
もちろんポーカープレイヤーだけではなく、スポーツベットなど様々な分野から同様の声が上がっています。
これはなんとしても阻止しなければならない事態、と政治的な働きかけも進んでいます。
ネバダ州選出民主党のSteven Horsford議員は「共和党はこっそりギャンブラー潰しの条項を忍ばせた」と非難、同じくネバダの下院議員Dina Titus氏は「ギャンブル損失に対する税制上の救済措置を検討中」と自身のSNSで表明しました。
また「The Mouth」として著名なプロポーカープレイヤーのMike Matusow氏は自身のSNSで「IRS(アメリカ国税庁)長官であり友人でもあるビリー・ロング氏がポーカーに理解があり、調査を始める」と投稿しました。(ただし税制は議会が決めるものでIRS長官が直接影響を及ぼすことはできない)
法案は早ければ2026年にも施行される可能性があります。WSOP開催真っ盛りの米ポーカーコミュニティは、今まさに存続をかけた闘いに突入しています。
↓それでも日本の法律に比べたら全然マシなんですけどね…
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