期待値とは　期待値の求め方定義や計算方法をわかりやすく解説　宝くじ、競馬、カジノ…ゲームの種類と確率

期待値という言葉は、投資やビジネス、ゲームなどさまざまな分野で使われていますが、そもそも

期待値って何？
求め方は？どうやって計算するの？

という方も多いでしょう。なんだかちょっと、数学っぽくて難しいですよね。

そこで本記事では「期待値とは何か？」を具体例を交えながらその計算方法をわかりやすく解説します。さらに活用方法として、宝くじ・競馬・カジノゲームなど、さまざまなゲームの期待値を比較し、どれが最もプレイヤーに有利なのかを見ていきましょう。

期待値とは？

期待値(EV：Expected Value)とは、ある行動や選択を何度も繰り返したときに平均して得られる結果のことです。

なんだかちょっとわかりにくいですが、期待値の計算方法は、実はとてもシンプルです。

基本的な計算式は

期待値=（各結果の値×その確率）の合計

となります。まだピンとこないので、わかりやすいように簡単な例を見てみましょう。

事例1：「そのままもらう」か「勝ったら倍、負けたら半額」か

A：無条件で100ドルもらえる
B：じゃんけんに買ったら200ドル、負けたら50ドルがもらえる

これはAとBどちらを選ぶほうが得でしょうか？期待値の計算をしてみましょう。

Aの期待値＝＋100ドルの確定利益
Bの期待値＝(200ドル×0.5)+(50ドル×0.5)=125ドルの期待利益

というわけで、Bを選んだほうが期待値的にリターンが高いことになります。

ちょっとわかってきたところで、もうひとつ例を見てみましょう。

事例2：サイコロの出目と期待値の比較

サイコロを2つ振るゲームを二人で行います。このとき

Aさんは「ゾロ目」が出たらBさんから100ドルもらう
Bさんは「合計5または9」が出たらAさんから100ドルもらう

というルールだったら、AさんBさんどちらが有利でしょうか？

まず、AさんBさんそれぞれの勝ち目がいくつあるか数えてみましょう。

サイコロを2つ振ったときの組み合わせは全部で36パターンあります。
そのうち、Aさんの勝ち目である「ゾロ目」は、6通り。
一方、Bさんの勝ち目である「合計が5または9」は、8通り。

Bさんの方が有利なルールなのは一目瞭然ですが、具体的にどのくらい有利なのか、期待値の計算をしてみましょう。

Bさんの期待値は以下のように計算します。　

（自分の勝ち目が出たときのプラス）＋（相手の勝ち目が出たときのマイナス）＋（それ以外）

Aさんの勝ち目が出る確率は6/36
Bさんの勝ち目が出る確率は8/36
それ以外の目が出る確率は22/36

これを上の式に当てはめると

（8/36×100ドル）＋（6/36×(-100ドル)）+（22/36×0ドル）＝5.56ドル

つまりこのゲームを繰り返すと、Bさんは平均して毎回5ドル56セントずつ儲かるということになります。

確率と期待値がわかれば、Bさんのような人から急にこんなルールのゲームをふっかけられてもちゃんと断れるようになりますね。＊そもそも誰かにこのような「賭博行為」を持ちかけられたらどういうルールであろうと断らないといけませんが。

宝くじ・競馬・カジノゲーム…期待値を比較してみよう！

期待値は、ギャンブルやゲーム、投資などの判断基準としても重要です。では、各種カジノゲームの期待値はどうなっているのでしょう？

以下、様々な種類のカジノゲームに加えて、宝くじや競馬など期待値を比較してみます。

スクロールできます

ゲームの種類	期待値(EV)	リターン率(RTP)
カジノ- ルーレット（アメリカン）	-0.0526	94.74%
カジノ- ルーレット（ヨーロピアン）	-0.027	97.3%
カジノ- ブラックジャック（ベーシックストラテジー）	-0.005	99.5%
カジノ- バカラプレイヤーベット	-0.0124	98.76%
カジノ- バカラバンカーベット（5%コミッションルール）	-0.0117	98.83%
カジノ- バカラバンカーベット（6バンカーハーフルール）	-0.0327	96.73%
カジノ- バカラバンカーベット（ドラゴン7ルール）	-0.0019	99.81%
カジノ- バカラタイベット	-0.1436	85.64%
カジノ- バカラドラゴン7にベット	-0.057	94.3%
カジノ- 大小（Sic-bo）大または小にベット	-0.0278	97.22%
カジノ- 大小（Sic-bo）特定のゾロ目にベット	-0.162	83.8%
カジノ- クラップス Pass-Lineベット	-0.014	98.6%
カジノ- クラップスオッズベット	1.0	100%
カジノ- マネーホイール	-0.116	88.4%
競馬	-0.25	75%
宝くじ	-0.5	50%

いかがでしょうか。カジノもゲームの種類やベットの種類によって期待値に差があることがわかります。

とくにクラップスのオッズベットは、なんと期待値が1.0、リターン率100%。これはハウスエッジ（カジノ側の取り分）がゼロ＝カジノ側とプレイヤーが完全に対等なベットという、ほぼあらゆるゲーミングにおいて非常に珍しいルールです*注1。またブラックジャックも、ベーシックストラテジーに沿ってプレイすれば、カジノ側とかなり対等に近い期待値で楽しむことができます。バカラも、ドラゴン7ルールのバンカーベットはハウスとほとんど対等に近いルールですね*注2。

一方で、バカラのタイなど各種サイドベットや、大小およびクラップスでのゾロ目など、出る確率が低い分配当が大きいベットは期待値が低い（＝ハウスエッジが高い）傾向にあります。

しかしなんといっても特筆すべきは、あらゆるカジノゲームと比べて圧倒的に低い競馬や宝くじの期待値。競馬の期待値は-0.25（リターン率75%）、宝くじにいたっては驚愕の-0.5（リターン率50%)。つまり、競馬なら10,000円買うごとに2,500円負け、宝くじなら5,000円負けるということです。

一方で、よくニュースを賑わせている怖〜いゲームのイメージがあるバカラの期待値は-0.02前後（リターン率98%前後)。期待値が低めのタイベット（リターン率85.6%）ですら競馬や宝くじよりは遥かに良心的なルールと言えます。

そのゲーム、やるべきか否か

このように、ゲームの種類やルールによって期待値は大きく異なります。

期待値の計算ができるようなれば、不意に、

「ピザ1枚無条件でもらえる」か、「サイコロで奇数が出たら2枚、偶数なら1/2枚もらえる」のどちらを選ぶ？

なんて突然聞かれても、確率的に得な判断をすることができますね。

ただし確率とは、繰り返し続けた場合に落ち着く理論上の結果。たった1回きりの勝負なら負ける確率は十分にある。お腹が空いていたら確実にもらえる1枚のピザを選ぶのも、あるいは賢明な選択かもしれません…。

注1：
クラップスのオッズベットは単体では賭けられません。オッズベット以外の場所はハウスエッジがあるので、全体としてはいくらかハウスの取り分があるようになっています。なのでオッズだけを賭けることはできないのです。

注2：
ドラゴン7ルールのバカラは、バンカーベット自体のハウスエッジは非常に低いものの、ドラゴン7自体へのベットのハウスエッジは高い。ドラゴン7はオプションなので賭けなくてもいいのですがつい配当40倍の夢を見たくて置いてしまう。そこから利益を得るようになっています。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　