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世界標準のGTOツール「GTO Wizard」が新機能「Player Profiles」を発表しました。
一言で言うと、プレイヤータイプごとの最適戦略を学ぶことができる新機能です。
「相手がGTOでプレイしないなら意味がない」という反GTO派も、あるいはGTOを実践しつつも現実の卓があまりにも乖離していることからGTOプレイそのものに疑問を持たざる得なかった勢も、一度は目を通したくなるアップデートではないでしょうか。本記事では、その気になる内容を公式の発表をもとによりわかりやすく紐解いていきたいと思います。
Player Profilesは、「プレイヤータイプ」を設定することで、GTOよりさらに利益的なエクスプロイト戦略を模索し、学ぶ新機能です。
現在それと近い機能を担っている「ノードロック」は、特定の場面において都度手動設定するものでした。しかし実際のエクスプロイトはとある単一場面でのみ行うのではなく、プレイヤーそのものに対して行うはず。ということで、今回の新機能によって、ゲームツリー全体にわたる一貫した戦略として継続的にリークをモデリングできるようになるそうです。
ノードロックが「ある種のミスからどう搾取するか」だったのに対し、新機能は「ある種のプレイヤーをどう倒すか」となり、より実践的かつ包括的なアプローチと言えるでしょう。
今回の機能では、下記の8タイプが選択肢として事前搭載されています。
GTO | 基準値 |
Fish | ドンクとコールが好きでレイズは少ない |
Calling Station | 受け身かつ降りない |
Glass Cannon | 攻めはアグレッシブで守りは慎重 |
Maniac | 非常に攻撃的かつ降りない |
Nit | 受け身かつ攻撃にも降りる |
TAG Reg | タイトアグレッシブなレグ |
LAG Reg | ルースアグレッシブなレグ |
GTOはデフォルトのプロファイルです。GTOはGTO以外のプレイヤーを相手にした場合、そのリークをエクスプロイトします。(GTO同士での対戦なら、両者はつねに均衡をプレイします)
プロファイルは、それぞれのプレイヤータイプがアクションを決定するとき、仮想的なインセンティブ(動機づけ)を付与することで形成しているのだそうです。「仮想的」って何だ?と一瞬思いますが、仕組みは以下の通りです。
たとえば、「受け身かつ降りないプレイヤー」はコール過多になるので、コールすることがより利益的(と錯覚している)行動をとるように設定します。具体的には、このタイプにコールが「ポットの+5%利益がある」と考え選択するよう内部設定することで、コールがより魅力的なインセンティブとして機能し、基準値(GTO)よりコール頻度が上昇します。
しかし最終的なEV計算ではこうしたインセンティブは無視され、現実の数値が反映されます。なるほど、だからあくまでも「仮想的」なのですね。
同様に、各プレイヤータイプに対し、それぞれのアクションについてプラスまたはマイナスの動機づけを仮想インセンティブとして数値設定します。たとえばManiacなら「ベットは+6、フォールドは-6」、Glass Cannonは「ベットは+4、フォールドは+5」といった数値が設定されます。構造は意外とシンプルですね。(計算は複雑なのでしょうけど)
BTN vs BB SRP 100bb deep NL500 rakeでの例を見てみましょう。
(BB側にプレイヤータイプを設定)
これはFishとLAG Regの比較です。Regプレイヤーと比べると、Fishはドンクが多いのがわかります。なおこの図のRegはLAGですがTAG Regはレンジチェックです。*GTOもレンジチェック
NitとTAG Regはどちらも全レンジチェックですが、その後のBTN側の戦略が、対Nitだと安めベットの頻度が対TagREGに比べて約10%上がるようです↓
ではFishにチェックされた場合のBTN側戦略も見てみましょう↓
レンジ全体の8割以上でベットとなっています。Fishは良さ目の手の多くをドンクで潰してしまう分、チェックレンジが非常に弱くなる。結果BTN側のベット頻度は大幅に上昇、チェックレイズが返ってくることはほとんどなく、シンバリューも仕掛けやすくなります。
この「 QT7」ソリューションは誰でも見ることができるので、ぜひご自身で触ってみてください。(ちょっと何か変えようとするとすぐ「エリートプランにアップグレードしますか?」と出てきますけども…)
「今回のアップデートはあくまでも初期バージョンに過ぎず、プロファイル機能はここから新技術の時代を切り拓いて行く」とGTO Wizard公式は語っています。
近日の予定では、現時点ではプリフィクスのみのプロファイルを自身で作成・保存できるツールや、ストリートレベル、さらにはノードレベルとより局所的な条件で相手のバイアスを設定できるようにする機能を追加するそうです。これらの機能が追加されると、よりリアルな「人間っぽいプレイ傾向」や「部分的なリーク」を再現できるようになり、たとえば「対戦が決定している相手の特徴を設定して徹底的に対策する」なんてことまでできちゃうわけですね。
さらにもっと先の展望としては、ハンド履歴データから人間のプレイ傾向をモデリングするといった機能も構想しているそうです。もはやちょっと怖いです。
理論(GTO)と現実(人間プレイ)とのギャップを埋めるべく日々進化し続けているGTO Wizardですが、プレイヤーが最も学ぶべきは、特定の場面や相手への対処ではなく、GTOがどのように機能しているのかの根本原理を理解すること。
「ただ答えを与えるだけではなく、なぜその答えになるのかを理解できるツールを作ること」- プレイヤーがGTOへの理解を深めることで、実践卓での意思決定がより速く正確になる。これこそが長年目指してきた方向性である、とGTO Wizardは述べています。
参考元:GTO Wizard Blog
Profiles Explained: Modeling Exploitable Opponents
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