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「カジノ風アプリ訴訟」Apple・Google・Metaが訴えられた|何が問題?大手テック企業が受けた訴訟の争点とは

Apple、Google、Metaカジノ風アプリ訴訟

Apple、Google、Metaが棄却を求めていたいわゆる「カジノ風アプリ」をめぐる集団訴訟について先月末、連邦裁判所は同社らの主張(プラットフォームとしての免責など)を一部退け、訴訟が進行することになりました。

娯楽ゲームと思われていたアプリが、なぜギャンブルと同列に論じられ訴訟にまで発展したのでしょうか。

目次

訴訟の概要

訴訟とお金

今回の集団訴訟は、これらの世界的プラットフォーム企業が「カジノ風アプリを通し、ギャンブル行為の提供から利益を得ている」という訴えを向けられたことに端を発しています。

訴えに対しApple、Google、Metaは、「第三者コンテンツに対する責任からプラットフォームを保護する法律」を盾に、「これはギャンブルの利益分配でははなく、ただの取引仲介」と、あくまで既存の「取引手数料モデル」にすぎないことを主張していました。

一方原告側は、これらの企業がカジノゲーム提供者にユーザーデータを提供することで、脆弱なユーザーや依存傾向が高いギャンブラーなど、いわゆる「ハマりやすいユーザー」を狙い撃ちにすることを可能としていると主張。いくつかの具体的なアプリ名を挙げ、これらが実質的にリアルマネーのギャンブルを示していると指摘しています。

問題の核心

カジノ風アプリ

問題となっているのは「ソーシャルカジノ」や「スイープステークス・カジノ」と呼ばれるアプリ。その背景には「実質的な報酬性がある限り、現金でなくてもギャンブルと見なされるのでは」という核心があります。

こうしたアプリは、いわゆるオンラインカジノと違い現金そのものを賭けるのではなく、ユーザーが課金により入手した仮想コインやチップを使ってスロットやポーカーを遊びます。表向きは換金できないため「娯楽用ゲーム」として提供されてきましたが、

  • 「当たれば遊び時間が延びる」「外れればゼロになる」というギャンブルと似た心理的構造
  • ソーシャルカジノの仮想チップ売り上げは推定年間約60億ドル

といった点から「カジノ風アプリ内で購入される仮想チップは現実世界のギャンブルに匹敵する」と原告側は主張しています。

さらに、スイープステークス型のカジノでは「購入したコインに付属するスイープスコイン」が存在します。このスイープスコインは景品や現金と交換できるため、実質的に「現金を賭けているのと同じ体験」を提供していると指摘されています。

なぜ大手テックが標的になったのか

SNS

訴訟の争点は、これらの企業がユーザーから徴収している「最大30%にまで及ぶ手数料」です。

AppleやGoogleは、これらのアプリを自社ストアで配信、アプリ内課金の決済を処理し最大30%の手数料を取っていました。MetaはFacebookを通じてソーシャルカジノの広告を大量に配信し、依存傾向の高いプレイヤーを狙ったターゲティング広告で巨額の収益を得ていたといわれています。実際、2021年にFacebook広告の売上上位アプリ12本のうち9本がソーシャルカジノだったとのこと。

つまり3社は「中立的なプラットフォーム」としてアプリを提供していただけではなく、課金システムや広告を通じて積極的にビジネスに参加し、ユーザーの依存行動から利益を上げていたとみなされているというわけです。

「現金ではなくてもギャンブル」とされる理由

チップの後ろから覗く紙幣

「換金できないならただのゲームにすぎない」と思うかもしれません。

しかし、現金そのものを賭けなくても、遊戯時間の長さやコインの量が偶然の結果によって上下する仕組みは、実質的に「当たり外れで損得が決まるギャンブル体験」と見做される可能性があり、さらにスイープスコインのように実質は換金同等と見做されるルートが存在する場合は「現金ギャンブルと同等」と判断され得る可能性があります。

つまり、報酬が「仮想通貨」「遊戯時間」「おまけのコイン」であっても、ユーザーがそこに価値を見出し、課金行動を繰り返している時点で法律的にもギャンブルに近い性質を持つのではないか、という点が原告の主張の根拠となっていると言えるでしょう。

今後の影響

今回の訴訟は、判決次第によって単なるアプリ規制を超え、テック企業の「プラットフォーム責任」を問う大きな転換点になる可能性があります。

AppleやGoogleはギャンブル性のあるアプリに対して配信や決済の制限を強化せざるを得なくなり、Metaの広告ビジネスにも大きな見直しが迫られる可能性があります。さらに今後はテック企業だけでなく、クレジットカード会社など決済事業者も同様に責任を問われる可能性もゼロではないでしょう。

そして何より「現金ではないから安全」という従来の理屈が通用しなくなるかもしれません。報酬の形が何であれ、依存症や不当な損失を生む仕組みであれば、それはギャンブルとして規制対象になり得る可能性がでてきます。

日本でも「改正ギャンブル等依存症対策基本法」によりオンラインカジノへの広告・宣伝・誘導行為が禁止となったばかりですが、実質的には罰則が設けられておらず課題が残っています。世界的にも急増するオンラインゲーミング市場の課題にはまだまだ改善すべき点が山積みとなっています。

参考元:
Reuters: Apple, Google, Meta must face lawsuits over casino-style gambling apps
Esports Insider: Apple, Google and Meta in Huge Legal Battle Over Social Casino Apps
Covers: Lawsuit Against Google, Apple, Sweepstakes Casinos Voluntarily Dropped

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